ごめんねハイデッガー

ハイデガーが読み勧められないので、他の本を先に読みます

ラリーとバリー

 痒いと思って手を伸ばした先に、またそいつがいる。

 痒さと言うのは身体に何らかの異常が発生していると言う事だ。または何らかのエラーが発生していると言う信号だ。実際に異常が発生しているかは知らない。アトピーは何だってあんなに痒いんだろうな。痒さに耐えられる人間なんているのか。

 

 だが今回、俺がムカついてるのはそれじゃねぇ。レックリングハウゼンだ。神経性線維腫症。お前だ。※ I型II型がある。

 

 そいつは己の神経に沿って突如として出来る腫瘍だ。表皮に近い部分から脊椎の中まで、どこにだって出来やがる。こいつらのムカつく部分は、「コンロトール不能性」だとか「自分が関与していない」ところにある。ガンだってそうかも知れない。

 「自分の選択や行動の結果」としての傷、怪我、病気ってのはまだ納得出来る。だがコイツらはそうじゃねぇ。気付けば出てきてやがる。今だってそうだ。痒いと思って手を伸ばした先に、知らないラリーとバリーがこにゃにゃちわ!だ。

 

 俺が煙草を吸った時やラーメンを喰う度、はたまたセックスオナニーで射精をする度に、ランダムにラリーやバリーの兄弟が出て来るってんなら全て控えよう。俺は修行が大好きだ。目的があるなら大抵の事は何だって我慢出来るキチガイだ。特技は痩せ我慢だ。デブだけどな。

 

 それでもラリーやバリーの兄弟は、何の理由も無く出て来る。俺が何をしようとどう生きようと関係が無い。ムカつくよな。何の思い入れも持てない腫瘍が、いきなりそこに出てきてやがる。全身にだ。全身にだぞ、分かるか。特定の部位にちょろっと、なんてもんじゃねぇ。

 手で触れたってわからねぇような奴らが、強い光(単一の光源)に照らされると浮かび上がる。見えてない奴らが影を落とす。ウンザリする。綺麗な身体が欲しい。電脳化が進んで全身義体になったっていい。もういっそジェイムスン型だっていいよ。助けてくれ。ソープ嬢に毎回謝るのも疲れたんだ。「ごめんな、あんま気持ちのいい身体じゃねぇだろ」って。

 

 美しさへの憧憬と憎悪がある。駅やコンビニで俺と同じ病気の人間を見る時がある。あなた達はどうだろう。美への憧憬と憎悪はありますか?自分に向けられる目を潰してやりてぇと思う事はありませんか?疲れませんか、自分の身体に。エレファントマンに涙をしても、絶対にそうは生きられない素直な人間達に。※エレファントマンはまた別の病気で例えの話です。

 

 強い光は要らんのです。拡散した淡い光でいい。外科手術以外にあり得ない救済と、永遠に湧き続けるラリーとバリー、そいつらと生きると言う事に疲れませんか。俺は疲れていますが、みなさんはどうですか。

 あと指定難病の補助が今年一杯で打ち切られそうなんだけど、みなさんどんな感じですかね?まぁこの日本国の現状だと、そこら辺から締め付けて切っていくのは分かってたんですが、思ったより早かったですねぇ。

 まぁそこまで参っちゃいねぇんですけど、俺以外の人の動きを知りたいのですがどうなんでしょ。情報交換でもしませんか。オンでもオフでもいいですよ。ここのコメント欄でもいいですし。どうでしょう。もう少し生きませんか。