ごめんねハイデッガー

ハイデガーが読み勧められないので、他の本を先に読みます

観劇記録01

 ティーライオット2017 に依る舞台「トライアル」 を見てきた。久しぶりの池袋GEKIBA である。内容は徹頭徹尾、評価が極端に分かれるだろうなぁと言う印象を抱く中間層が多そうだった。つまり入り込みにくいと言う事なのかも知れない。客観的な立場になっちゃった。

 いや、観客なのだから客観的で良いんだろう。良いんだろうけど、神の視点でそれを見続ける、つまり舞台の上に「自分は彼/彼女だ」と言える存在がいないのは何とも遠いんだよな。

 

前説

 これからやる芝居の"了解"が取られている。「この距離で!この声量の!演ります!」と言うやつ。全編通して基本的にやかましいので、観る側に覚悟させるって意味では重要なんだろうな。

 池袋GEKIBAだと物理的な距離が非常に近いので、捉えられ方は機嫌の善し悪しに左右されそうだなァーと思う。ガッツリとした重めの前菜って感じがした。

 

内容

 前説で見た熱量で演らないと崩壊するタイプの話でした(褒めてます

 

 …………ブウウ――――――ンンン――――――ンンンン………………。と始まる本編。全体の感覚としては「熱した火搔きが徐々に近づいてくる」んだけど、いまいち飲み込みきれない部分がある。不条理なゴールドエクスペリエンス的復讐、罪と罰と苦痛に関する申し立ては分かった。俺も映画を見たりしていると、悪い奴が死んで終るのには納得が行かない。苦しめ、死ぬより永遠に苦しめと思う。そこは良い。

 ただこの時代に病み系をやるの、そこそこ勇気がいると思うんです。度合いはともかく、身の回りにいるだろうその手のピープルを演るにはリアリティが必要だ。リアリティの平均値は嘘くさいし、どこかに寄せればそれも誰かにとっては大きな嘘になってしまう。

 おそらく、役者もある程度の研究はしたんだろうけど、一億総ビョーキ社会に於ける依存症とは何かと思ってしまうよね。そこら辺はどうなんだろう。「いま、これを上演する意味合い」みたいなものはどうだろうな。

 

 大きな話の筋としては、「対象を手元に置いて繰り返す復讐に依存する女性のホラー」なんだよね。霊媒体質とか、裸足の少女とかはそこら辺を分かりやすく"虚構だよ"と言う事にしてんだろう。多分、「時計が無いのにスマホがある」あたりの矛盾もそこで片付けてんだろうと思う。これは、夢なのだ。悪夢だ。

 集められたピープルの何かに対する依存や自覚の有無、治験、医師や"上"みたいなのが全体的に"誰かの見た夢"であって、青年と姉以外は非実在とまで言えるんだろうなぁ。映像だったらおそらくケンジローはミイラ化してたんじゃないの。俺だったらそうする。ベタだけど。

 

 映像と言えば、オープニングと差し込みに映像が使われていた。俺に小銭出してくれりゃーもうちょい良いの作りますよ。セイムが続くので単調なのは仕方ないとして、同じ構図でもカメラとレンズ、絞りを変えるだけで別物になります。今後の参考にして下さい。

 

 全員が妄想の産物だった、そんな事件すら無かったのかも知れない。そこまで行って初めて「わぁ、怖ぇ」となる。

 ただ広告研究ボーイズのレイプ事件は実際にあった訳だから、それを匂わせるのは何しら目的があったのかな。気まぐれか、主宰の知人か巻き込まれた事に依る復讐か、そこら辺は分からない。

 全員が虚構存在であった場合、それぞれは何のメタファーなのかな。そこがちょっと整理し辛い。母になりたい(成れない)、共依存するにしたってもうちょいマシな共依存がいい、願わくば"過去はどうあれ"幸福な関係性を築きたい、と言うそれぞれの姿なのかなー。それでも全員が”病んでいる”のは救いが無いが、見ている側だって大差ないだろう……と言う結論に辿り着く。まぁそれはオマケだろう。

 

 記憶を取り戻しつつある青年によって、復讐を軸にした依存性が崩壊しようとしている。アル中女性の旦那theリパーはそのメタファーなのかね(関係性を崩壊させる存在と言う意味)。ダメになったから総取っ替え、と言う訳だ。ただ、そうなると最後のケンジロー達が存在してる理由や意味がわからねぇ。実在する事に意味はあんのかな。新しいケンジロー達がいて然るべきなんじゃないだろうか。

 納得がいかないとしたらこの点なのだ。彼らは実在し、巻き込まれただけの人間なのか。それとも最初から虚構なのか。虚構であるなら不都合な(怪我をしている)などの汚点は取り替えられるべきじゃないのか。復讐をする女性が怪我と言う現実に固執する意味は無い筈なので、ここだけがどうにも納得がいかない。

 

 意味なんか無いです単なるサイコホラーです、と言うならそれで良いんだけどね。 内容はそんな感じでしたが終始、熱量のやたら高い芝居だったなァと思います。そこは評価値高いと思います。暑苦しい夏、思わず辞めた煙草に手を伸ばしかけました。

ない

 1

 

ブゥーーーーン……と始まる本編。感覚としては「熱した火搔きが徐々に近づいてくる」んだけど、いまいち飲み込みきれない部分がある。不条理なゴールドエクスペリエンス的復讐、罪と罰と苦痛に関する申し立ては分かった。件の返信1件のさリツイート1 いいね

1件のリツイート1 いいねっっl