ごめんねハイデッガー

ハイデガーが読み勧められないので、他の本を先に読みます

自転車と私

ラストサムライ、と言う映画がある。

そこで渡辺謙が述べたセリフがある。

「I talk about myself, you talk about yourself. This is conversation」

(私は私について話し、あなたはあなたについて話す。これが会話だ)

自分語りを嘲笑う傾向があるようだが、まぁ気にするなよ。

自分の話をしていこう。だから君の話を聞かせてくれ。

 

生きると言う事は日々を告白する事だ。そうだろう?

俺はお前の話が聞きたいのに、どうして何も話してくれないんだ。

 

禁煙とワタシ

 

先日、自転車で房総半島に渡ってぐるりをし、膝を痛めて帰ってきた

そもそも何だっておれはそんな事をしたのだろうか。

今年の初旬には「大型免許取ってハーレー買おうかな」などと言ってたのだ。

近くのバイク置き場も調べた。それなのに!!

 

煙草を止めたのは居酒屋禁煙法案みてぇなやつがそもそもの発端だ。

今の時点で都内駅前じゃ吸える所が少ない。今後も苦しい戦いを強いられるなら、さっさと撤退しちまおうと思った事を記憶している。

 

禁煙するとベンツが買えるコピペは有名だと思うが、まぁ実際に計算してみたら13万くらいだったので、そのくらいの自転車を買ったんだけど何で自転車なんだろう。ハーレーや原チャでも無く、何で自転車なのか。

 

自転車とワタシ

 

別に自転車が好きだった訳じゃない。そもそも俺は運動神経がニブいんだ。

ガキの頃も自転車を覚えるのにとても苦労した記憶があるし、今だって自転車でコケた上に回転するタイヤに顔面から突っ込んで唇を怪我した時の事を忘れられずにいる。

 

小学生の頃はチャリが無かった。小さいチャリは妹に譲られた。何だって小学上級生になってまで母親のケツに乗らねばならんのだ!と厭になったのも覚えている。

 

やがて中学生になりチャリンコに乗る機会は圧倒的に減った。

何か大学生くらいの頃に、貰ったチャリをパクられたりした記憶はあるが……。

俺がチャリンコと正式に再開するのは大学を卒業してからになる。

 

自転車漫画とワタシ

俺は海外の大学を卒業して無職をやっていた。

not in education employment or trainingと言うやつである。

朝の遅い俺を見て、母親は「全くNeatじゃないね」などと言うから困ったものだ。俺は家を出て、知り合いの家に転がり込んで暮らした。

 

その家に転がっていた漫画が「アオバ自転車店へようこそ!」と「のりりん」である。別にこれを読んで「WRRYYYYY!!!!」となった訳じゃないが、影響がゼロかと聞かれるとゼロじゃねぇとしか言えない。「そういう選択肢もあるんだな」程度だと思う。

弱虫ペダル」は置いてなかったので読んでないし、今でもちゃんと読んでない。たまにチャンピオンで読む程度だ。でも今週のはかなり熱かったっショ。

 

自転車通勤とワタシ

東日本大震災直後の事だ。

会社と言うか就職の関係で、吉祥寺から渋谷まで行かなければならなくなった。

どうしてそうなったのか覚えていないが、俺は「ストライダ」と言う三角形の自転車、しかもそれの中国性パチモノに跨がって渋谷に向かったのだ。

 

たぶん、輪番停電だとか何か色々あったからそうしたんだと思う。

あの小さいタイヤでよくもまぁ渋谷に向かったものだ。踏めども踏めども我が道中、楽にならざり!高井戸パン工場が全行程の半分にも満たないと知った時の絶望はそこそこ凄かったな。

……今思えば、折りたたみ自転車なので井の頭線くらいなら何か誤魔化して乗れそうなものだが、律儀に自転車で帰宅したのを覚えている。帰りは太ももが破裂しそうだったのを覚えている。

 

その後、ヒモをさせて貰っていた知人の旦那から自転車を借りる。

借りると言うか結果的に譲って貰った感じなんだけど、そいつがMV2-Proと言うチャリンコであった。リンクのより型が古いんだけどね。

 

俺はそいつで通勤する様になった。そう、俺は井の頭通りのシューティングスターになったんだ。その時も、井の頭通りのバイク屋を横切っては「いつか大型バイクとサイドカーを買うぞ」と思っていたのだ。

 

ミニベロとワタシ

MV2-Proは良い自転車だ。ミニベロでありつつ、スポーツ車でもある。

それでもやはりミニベロなのだ。当然、ロードには勝てない。何だったら、気を抜いたら本気ママチャリにだって抜かれる事がある。俺は遅いのが嫌いなんだ。

 

「ロード買おうかな」

 

そう言うと、俺を飼っていた知人はいつも決まって「金無いのに偉そうに。それにその自転車も十分良い自転車だぜ」と言う。それは分かっている。

ただ俺はもう少し早くなりなかった。少しでいい。早くなりたかった。

 

俺が乗る前に何年か乗られていた自転車。

知人の旦那も中古で買ったと言うんだから、既にボロボロだった。

色々と改造もしてあった。良い自転車だった。

1シーズンに一回は必ずパンクした。

それでも良い自転車だった。

そりゃあ酷い乗り方した事もあった。

ディスクブレーキを酷使した事もあった。

 

そんな時に、禁煙を始めた。

禁煙を始めた時に、あの思いが頭を過った。

 

「ロード、買おうかな」

 

確かにそう思っていた。それでも沼なのはわかっていたし、実際に買うとは夢にも思ってなかった。それもフルカーボンなんて考えた事も無かった。なのに次はエアロかクロモリかって考えている。実際に今だってなんで自転車に乗ってるのかワカらない。通勤だけの予定だったのに何で輪行してるのかもワカらない。

 

だが俺はフルカーボンの自転車を買い、レーパンを履きジャージを着て、ポーランドの国旗みたいな日焼けを作りながら房総半島をぐるりした。

こんな筈じゃなかったのに、後悔はしていない。後悔はしていないが、何だかいまも分からないままだ。

 

分からないままだが、とにかく気持ちが良い瞬間を得たいのだ。

自動車に煽られ幅寄せされ、バイクに煙たがられ空吹かしされ、マナーの悪い自転車乗りと接触しそうになる。それでも自分の足で進みながら風をビュンビュンと切る速度は、なかなかの快感だといつも思う。

 

俺が自転車に乗り始めてから、職場の人間も何人かが自転車に乗り始めた。

そしてまた一人、自転車に乗ろうとしている同僚がいる。自転車業界はそろそろ俺にホイールのひとつでも寄越していいんじゃないだろうか?

 

一人はクロスを買って、結局はロードを買った。

二人目もクロスを買って、速さを求めて良いロードを買った。

三人目はクロスを買った。ドロップハンドル欲があるなら、ロードも近いか。

四人目はロードを買った。半年後くらいに良いチャリ買ってそうだな……。

五人目はロードを買う予定らしいが、まだ迷っていた。

「予算で決めるな、好みの自転車を買うんだ!」と俺は言った。

 

 

自転車が好きかと聞かれれば好きだが、愛してなんかいない。

もしかしたら乗らなくなるかも知れない。バイクに乗りたい欲はまだある。

でもまぁ、とりあえずは年内に房総半島リベンジをしようと思う。

 

バイクだと旅先に出会いがあると言うが、自転車は無いのかねぇ……?