【本を読みました】怪奇礼讃(創元推理文庫)
怪奇礼讃(創元推理文庫)を読んだ。普段あまり読まないタイプの本だが、まぁエルロイだ星周ばかりじゃ身体に良く無いよな。これが健康的かと言われればまた違う気もするが、この際はいいじゃ無いか。
これは怪奇小説アンソロジーであって怪談小説アンソロジーでは無い、と言うのはミソだ。かつての「世にも奇妙な物語」で味わった様な、そんな味のする話が詰まっている。怖い話だけじゃ無い。変な話だ。変な話だが、どうにも理屈っぽく育ってしまったので「なぜそんなことが起きたのか」みたいな理由が無くていいんだなァと言うのが割と衝撃的だった。理由なんざ無くていいし、それを知ろうとしなくてもいい。なぜなら、そこに怪奇はあるんだよ、そう言う本だった。それを知れただけでも価値がある。
全部が全部面白い訳でも無い。誰だってポイフルやサクマドロップの味に好き嫌いがある。退屈だと思ったり足りなかったりするけども、まぁそれもいいもんだ。時間がかかっちまったが、割と楽しく読めたかな。
一番最初の「塔」なんかはホラーっぽいホラーだったな。僕の思う恐怖の一部はこういう感覚だなぁと思う。永遠と言うバグに巻き込まれるのって本当に怖いじゃ無いですか。そういうのたまに無いですか?永遠とか、完璧な拒絶とか、地味で潜在的な恐怖や奇異、そういう感覚だ。
まァ、あれが好きだコレが好きだと言うのも無粋なんで全部に言及したくは無いんだけど、たまには良いものだと思った。これからはこう言うのを少しずつ読んでみようかな。ごめんねハイデッガー、また先延ばしにしちゃった。