ごめんねハイデッガー

ハイデガーが読み勧められないので、他の本を先に読みます

【本を読みました】ジグソーマン(扶桑社ミステリー)

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ジグソーマン』ゴード・ロロ著。高里ひろ訳。

 

凄まじい読後感。とんだドラッグだ。最高に『ハイ』だし、最低にバァーッドだ。とにかく結末がラリって見た夢じゃなくて良かった。死ねる事の救いが最高にハッピーだ。本来はそうあるべきじゃ無いが、それはハッピーだった。そこにしか無い救い、逃避じゃないからこその救いに俺も救われた。

これはB級ホラーだ。スプラッターでサイコなB級ホラーだ。痛みこそドラッグで眠り飛ばしちゃいるが何をどうしたってゴアなサイコホラーだ。落ち着いて見りゃ笑っちまうが、焦燥感が凄まじい。それと言うのも、俺も入院して思い通りに身体が動かない焦燥感みたいなのを知ってるからなんだろうな。とにかく没入感が凄かった。背骨の中を虫が這い回るような焦ったさが読み終わるまで続く。

 

発売は2015年だし、ネタバレいいよな。

「自分の息子の為なんだ」と暴走した狂った元医者に、フランケンシュタインのプロトタイプにさせられてしまった男の話で、マジにフランケンなんだよ。全身が他人なんだ。そんな事が現実にあるわきゃねぇんだが、そこに何がリンクするって俺の意識がリンクするんだよ。俺と言う人格はフランケンシュタインだ。あンたのがどうかは知らないが、とにかく俺と言う存在や人格は他人の寄せ集めでできたポンコツのフランケンだ。だから思い通りに動かないし、粗悪な映画や本なんて言うドラッグで鎮痛していないと生きていけない。

だが別に俺をこんなにしたのは他の誰でもねぇ、俺だ。狂った俺が俺と言う人格にいろんなパーツを継ぎ接ぎし続けている。俺は膨れ上がる。助けてくれ、俺は薬を飲む。『ハイ』になってまた夢を見る。生きていくってのはその繰り返しじゃねぇのか。そして死ぬ、焦燥感。劣等感。埋め尽くすドラッグ。俺は俺と言う意思や存在、人格の制御ができていない。

エス!!だがこいつはよく効くぜ。間違いない。最高に効く。しばらくは生きていけるぜ、俺と言う狂った医者を殺して有意義な死に方ができるまでは生きていける。クズの為のドラッグだ。オススメするぜ。