ごめんねハイデッガー

ハイデガーが読み勧められないので、他の本を先に読みます

【午後のロードショー】『NEXT』を鑑賞しました

未来に何が起こるかわかっていれば何の問題もない。ジャンケンにだって負けないし、寝坊だってしない。仕事で馬鹿みたいなミスをすることもないだろうし、何かを後悔する事もない。ただ、2分先だけだった場合は競馬じゃ勝てないよな。

 

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NEXT-ネクスト-(NEXT)」2007年アメリカ。

ニコラス・ケイジ主演。

 

二分後の未来が見える特殊能力を持った男の話だ。二分後きっかり、ではないらしい。二分後以内までの未来が見える。しかもいくつかのパターンを見る事ができる。カフェで女の子に声をかけようとするシーンや、最後の攻防戦での探索の仕方からして、二分以内の無限にある選択肢を見る事ができる、と言う事のようだ。

 

未来に干渉する。二分後の未来が見えると言う事は、その結果から逆算して過去に影響出来ると言う事だ。ならば4つほどのパターンが考えられる。

①干渉する事で未来が変わる。

②干渉しても未来は変わらない。既に決まった事だ。

③干渉する事で分岐ルートに入る。

④細かい部分は変化してもあんまり大差の無い未来になる。

そんなところだろうか。

この映画はその中の③に近い。彼は二分以内の範囲での選択肢を無限に見る事ができる。だから二分以内の行動範囲での探索を二分以内に全て済ませる事ができるし、喧嘩だって負けないし、鉄砲の弾も避けられる。彼はその分岐ルートを選択する。それを繰り返す。

 

タイムリープ物は多いと思うが、なんかこれは少し新鮮かも知れない。それと言うのも、平行世界系ってやっぱり「体験」を描くじゃ無い。主人公がそれを体験する、その時点から巻き戻して別の選択肢を再生する。これも最初はそうなんだけど、やがてその経験をスキップしていく。そして無限の選択肢を無限に選んで再生していく描写になる。彼にはどれが正解の選択肢なのか分からない。分かるまでやるから分かってるだけだ。結果を知っている訳じゃない、結果にたどり着く手段を探す方法を持っている、と言う方が正しいのかも知れない。

 

また珍しく最後までの結末を描ききらない。世界を救えるのか、きっと救えるんだろうがその選択肢を選ぶまでにどれくらいの現在を繰り返すのだろう?はっきりと描かないのはそういうのが流行ったからだろうか。言われてみれば、ラストは観客の想像にお任せします系が流行った時期があった気もする。正確な事は分からないが、そんな気がする。そうじゃ無い気もする。

 

とは言え、ニコラスケイジが派手な格闘をする訳でも無いし、まぁ18年前のCGなので割とざっくりしてるし、ハラハラドキドキするかと言えばそうでも無い。なぜならニコラスケイジは二分間に存在する全ての選択肢を試して正解する事がわかっているので、絶対に死なないからだ。その選択肢の一つ、失敗例を見る事は有っても結局は成功する選択肢を選ぶし、そうじゃなければ話は進まない。これが敵で会って、こいつをどう倒すと言う話であれば面白いのになぁ、と思いました。